» 2014 » 4月のブログ記事

維持透析専門の業務経験は数年しかない私でしたが、プライミングも回収も、患者さんへの穿刺も、一応は難なくできる状態で、自分自身の透析導入となりました。

そんな私が在宅透析を考えるにあたり、一番の心理的障壁が「自己穿刺」でした。

穿刺自体は、毎日のように患者さんに対して刺しているので怖くも不安でもないものでしたが、それを自分にやるとなると話は別ですw

穿刺は、当然ですが痛いです。透析の中でも一番の苦痛です。
そして私は、痛がりで、ヘタレですw
導入当初は穿刺が嫌で嫌で、透析拒否になっていました。(シャントが細いから毎回失敗されていたので余計に嫌でした。)

人に刺して貰うのも歯を食いしばって耐えるのが精一杯なのに、自分で自分に刺すなんて死んでも無理だ!!と当時の私は本気で思っていましたw

その私が、今では難なく自己穿刺をしていますw(とは言っても、ボタンホールですけどね。通っているクリニックの方針で、自己穿刺はボタンホールでしか許可されないので。)

どうしてこんな短期間でここまで変化したか・・・ですが。

穿刺って、信頼関係だと思います。
私の場合、一番信頼している「夫」に穿刺してもらうようになってから、穿刺が怖くなくなりました。
夫はベテランですから、同じ技士の私から見ても穿刺はかなり上手だと思います。その夫でも、私の細いシャントでは何度か失敗もしました。
腫れてパンパンになり、痛くて泣いたこともありますw(マジ泣きしたw恥ずかしいw)
それでも穿刺自体が怖いと思う事はなくなりました。
失敗された次の透析は、以前なら怖くて怖くて病院に行くのが嫌だったのですが、穿刺が夫専属になってから、そういうことはなくなりました。

普通の患者さんは、ご自分の配偶者が技士だったり看護師だったりということは滅多にないと思うのでそういうことは難しいかもしれませんが、
「この人なら!」
と思える、心から信頼できるスタッフの人にしばらく専属で穿刺してもらうと、穿刺に対する恐怖感がなくなると思います。

実はスタッフからの見地で言えば、ある患者に専属のスタッフで穿刺する、ということは望ましい事ではありません。
そのスタッフが休みだったり移動になったときに難儀するからですw
ですが、患者からすると、少なくとも穿刺が怖くなくなるまでの期間でいいので、誰か一人(できれば上手な人)に専属で刺してもらえると、ものすごく安心して、透析自体の受容に大きく働くんです。

ちなみに信頼できる上手なスタッフ、というのは、スタッフ間の評価と患者さん自身の評価は食い違う事も間々あります。
患者さん自身が良いと思える人に刺してもらえると、たとえ失敗されてもなんとも思わない事が多いですし(私はそうでしたw 逆に不信感持ってるスタッフに刺されて失敗されると嫌で仕方なかったw)トラブルも避けられるように思います。

そして。
人に刺してもらう事が怖くなくなったら、いよいよ自己穿刺に移ります。

患者さんの中には、穿刺針そのものが怖くて見る事すらできない、という人も多くいますが、そういう人はまず「見る」ことからはじめます。
(私の場合、人に刺すのは慣れていたので、そこまでではありませんでしたけど、それでも最初は自分の穿刺光景を見るのは怖かったですwww)
見ながら、穿刺の手順をしっかり頭に入れて覚えます。

見ることに慣れたら、次は消毒を自分でしてみます。
刺せなくても、刺す寸前までの処置は自分でやります。
これをしばらく続けていると、不思議なことに「自分で刺してみようかな」という気持ちがわいてきますw
(決してスタッフから無理強いはしてはいけません。怖くなるだけです。)

それでもどうしても痛みが強くてダメな人(まあアタシですけどw)は、「ボタンホール穿刺」がお勧めです。
私もボタンホールで自己穿刺しています。

ボタンホールとは、ピアスの穴のように、穿刺する部分に穴を開けておき(普段は瘡蓋で塞がっていますから血は出ませんw)、透析するときに瘡蓋をはがし、そこに先の尖っていないボールペンみたいな針(刺さらないから針ではないのですが名称的には針)を「挿入」して使います。

先の尖っていない、刺しても刺さらない「針」を使うので、血管を傷つけて漏らしてしまうこともないし、血管壁をいためることもありません。
自己穿刺でボタンホールを使えば、自分で挿入するときに血管壁の穴の感覚を確かめながらできるので、スタッフが患者さんにボタンホール穿刺するよりずっと簡単にできます。
(私も、患者さんへのボタンホール穿刺は難儀することがありますが、自分自身のボタンホール穿刺は難なくこなせます。)

そしてボタンホール穿刺は、普通針の穿刺より痛みがずっと少ないです。
(ゼロではありません。無痛だと言う人もいますが、私の場合「ズキン」とした痛みは少し感じます。刺す痛みと種類が違うというだけで、完全な無痛ではありません。)

私の場合はメディキットの「ペインレスニードル」を使用していますが、患者さんはできることなら自己穿刺の前に、一度針の構造を間近で見せてもらうと怖くなくなるのではないかと思います。
針ではなく、先が丸いボールペンのようなものであることを視覚で確かめることは重要だと思います。(だから関係ないところを突いても絶対に痛くない、漏れないということを肉眼的に理解できるから怖くなくなるので。)

次回は、患者さんに刺す場合と自己穿刺する場合の技術的な差異(針の持ち方からして違います)について書いてみようと思いますw

当面このテーマで連載していこうと思いますw

1年前、諸般の事情から断念した在宅透析。
前回は透析導入後3ヶ月で動き始めてしまったため、今思えば、自分自身がまったく透析に対して受容ができていない状態だった事が大きくマイナスに働き、うまくいかなかったように思います。
(その他、その受容ができていない精神状態だったときに、不信感を持たざるを得ないそのクリニックでの技術面での不安要素が噴出した事も大きかったわけですがw 具体的には技士の機器に対する知識の低さ、針先の凝血時にコアグラをシリンジで押し込んでしまう事など。)

また、穿刺自体がまだ恐怖で苦痛で仕方がなかった時期(なにせまだ導入直後だったものですからw)に、
「なにがなんでも自己穿刺!!技士のくせに自己穿刺もできないなんて!」
というプレッシャーをかけられてしまった事も、挫折した大きな理由でした。
(当時、在宅のトレーニングはその施設で週1で受けてましたが、それ以外の日は自宅近くの病院で透析を受けていました。その自宅近くの病院のスタッフの穿刺の技術があまり高くなく、毎回のように失敗されていたことも、穿刺恐怖症を誘発していた原因でした。)

ちなみに、現在は私は完全に自己穿刺で施設透析を行っていますw

その施設で毎回のように失敗されていた当時、見かねた夫が自分の勤務する病院に転院させてくれて、そこでしばらく夫が専属で穿刺して、ボタンホールを作成してくれたおかげで、穿刺に対する恐怖心がなくなり、自己穿刺ができるようになりました。
(夫が作ってくれたボタンホールで、10ヶ月間、毎回無事に自己穿刺ができています。感謝です。)

そんな経験をして、しばらく在宅透析からは遠ざかっていましたが、このたび、自宅の近所の病院で在宅透析をバックアップしてくださるところが見つかり、もう一度チャレンジしてみる事になりました。

以前在宅のトレーニングを受けたところは、私と、介助者である夫が技士であるがゆえに不信感をもたれていた感が強かった、ということがありました。
(「素人の患者なら教えた事以外しないけど、あなたたち二人は技士だからわかった振りして何するかわからない」
というようなことを言われたりしました。
所詮、健常者のスタッフの言う事ですw
勝手な事って、技士暦20年以上のアタシたち夫婦、まあアタシは透析業務の経験は少ないけど、夫は24年ずっと透析一筋なのに、その私たちが、まして間違えれば自分の命が危なくなる自分の透析で、一体どんな危ない事をやらかそうと言う気持ちになるんだ!!と、何度心の中で突っ込んだ事か。
仕事は、言い方悪いけど所詮他人事で、ミスしたって自分が死ぬわけじゃないけど、自分の透析は何かミスしたら自分の命で代償を払わないといけないんだもん、仕事以上に緊張感もって望むに決まってるんですけどねぇ・・・w)

しかし今度の施設は、私と夫の技士としての部分に相当の信頼を置いてくださっている感が伝わってきて、こちらも必要以上に警戒されていない事がわかって、安心しましたw

てことで。
次からは、在宅透析を考える方にとって、おそらく一番の障壁であろう「自己穿刺」について、その葛藤と克服の仕方を、私なりに考察して書いてみようと思います。
(実際アタシはそうでしたw まあアタシの場合、プライミングも回収も目をつぶっててもできる状態がスタートラインなので、経験がない事と言えば自分で自分に穿刺するだけだったから当然なのですが。)

今年、新年度になってから、実は転職をしました。

今までは、自宅から車で1時間の距離の職場でしたが、透析導入後1年が経ち、体調も安定したので欲が出てきて・・・w

自宅から近い、透析業務以外の仕事もある病院に移ることにしました。

他の多くの患者さんたちの状況を見ていると、透析導入後の転職は相当に大変であることは予想できていたので、覚悟していました。

実際、書類を送っただけで不採用の返事をしてくるところが大半でしたw
(私は履歴書に身体障害者1級で透析患者であることは書きました。隠して就職活動しても
トラブルの元になるだけですから・・・。)
障碍者差別は禁止されているはずですが、実際は横行してますw
ハロワの障碍者求人などは、大半がふざけた条件のものばかりで(非正規採用のうえ年収200万円とかね)、障害者の足元を見照るとしか思えないものばかりですしねw

そんなわけで絶望してましたが、今回は無事に近所の病院に、健常者と同じ条件(たぶんw)で採用してもらえることになりました。
良かったけど、悔しい思いも悲しい思いもたくさん味わった就職活動でした。
透析導入後は転職しないほうが良いと思いますw(看護師さんなどは、透析患者でも求人がありました。)

世間は冷たくて厳しいですねwww