» 2012 » 11月 » 9のブログ記事

忘れもしない東日本大震災の時の某製薬会社の対応。

当時アタシは透析室のない急性期病院に居たんだけど、震災後であろうと何だろうと患者さんは容赦なく状態が悪くなるから、当然透析を回さなければならないこともありました。

その時。

某製薬会社の透析液製造工場は津波で壊滅状態になったらしく、著しい出荷制限を行っていました。

そのことは仕方がないしやむを得ないと思うんだけど、その事情説明の仕方があまりにも誠意がなくて憤りを感じたんです・・・。

「透析室のある病院に優先して出荷する都合上、(オタクのように透析室なんかない普段から消費量が少ない病院には)透析液は回せません」

という返答。。。

アタシは途方に暮れました。本気で。

透析室がなかろうとなんだろうと、透析を回すことはあるのに。

「病床数の大小で命の選別を行うというのなら、透析室のない病院で腎機能が悪化した患者(で、状態が悪くて転院もさせられない患者)は死ねということ??」と、心の底からがっかりすると同時に腹が立ち、必死で別の透析液が入手できないか奔走する羽目になりました。

(維持透析の仕事からしばらく離れていた私は、透析液=F社としか思い浮かばなかったんだけど(昔はその1社しか作ってなかったし)夫に聞いたら今はA社でも製造していると教えてもらえて、ダメもとで問い合わせたら快く出荷してもらえて、震災後の物のない期間を無事乗り切ることが出来たのだけれど。)

 

で、そのアタシが、今は透析患者数100数十人を抱える施設のTOPとして、医療材料選定の全権を持っているわけですが・・・今の施設はそのF社の透析液や薬品を大量に使用していました。

あの震災の時にヒドイ対応をされたから、というわけではないのですが、『たまたま』私の行いたい透析の手技のニーズに合致しない製品ばかりだったので、申し訳ないと思ったのですがF社の製品を相当数切らせていただくこととなりました。

 

あの時の恨み(?)を晴らしているわけじゃありませんw

でも、過去ああいう対応をされたことがあると、やっぱり多少の無理をしてでも(自分のやりたい手技を妥協してまでも)F社を使い続けてあげよう、という気持ちは起きないんですよねぇ・・・。

 

あの時、津波被害を受けて大変だったのはよく解るつもりです。

(私も被害の大きかった県に住んでいますし・・・。)

でも、もっと言い方ってあったでしょうに。

「申し訳ありません、津波被害が大きくてどうしても予定の出荷数を用意することができません。」

と言ってくれるだけで事情は解ったのに。

なのに「アンタの病院は透析室なんてないでしょ。普段からそんなに使ってないでしょ。そういう所には出さねーよ。お得意様優先だから。」

なんて言う必要はあったんでしょうか??

 

まあね、あの時は透析液どころかダイアライザーも回路も、輸血用の血液も何もかもが思うように入手できなくてどのメーカーも殺気立っていたし必死だったんでしょうけど、必要なものが用意できないからってそんな失礼なことを言ってきたメーカーさんは後にも先にもあの製薬会社1社のみですからねぇ・・・。

(他の代理店さんやメーカーさんは、あのガソリン不足、物不足(津波被害を受けたのは製薬会社だけではありません。心カテの心電図の電極の工場とか、色々な医療機器の工場が被害を受けました)となりましたが、それぞれ皆さん大変な苦労をして患者さんに迷惑がかからないように必死で苦労して代替品を用意してくださったり、他社への切り替えを進めてくださったりしました。

捨て台詞をはいて突き放したのはあの製薬会社だけでした。

 

極限状態の時にその人(会社)の本性がわかるとよく言われますが、そのことを実感した経験でした。

 

現在、透析病院の責任者をする身ですが、あの時失礼なことを言った担当者と、現在の当院の担当者さんは何の関係もないでしょうしお気の毒だとは思うのですが、営業さんは会社の顔であり、会社の考え方を映す鏡であると私は思っています。

しばらく(多分アタシの定年まではw)F社への印象というのは良くならないだろうなぁ・・・。

営業の方、非常時に本音を言っては顧客を失いますよw(今目の前に居る小さな施設の所属長が、永遠にその施設に居る保証はないんですからw いつかその人が大口の顧客の施設のTOPになることだって、ないとは言えないんですよ~w)